ステファン・ブオブ五段は、この建物のプールで泳いでいた。開いたカーテンの向こうに、4人の稽古が見えた。30歳、遅いスタートだった。
Way of Life 第10話『コンフォートゾーンの外へ』は、ステファン・ブオブ(五段・スイス剣道連盟 会長)のポートレート。撮影した道場は Budokan Lausanne。ここから先は、本編の字幕から起こした本人の言葉です。見出しと並びは本編の章立てに合わせています。
人生はコンフォートゾーンではなく、限界と挑戦でできているから。
プールの窓から
始まりはこの建物のプール、泳いでいたんです。ふとカーテンが開いていて、稽古が見えた。たった4人の稽古をじっと見ていました。
そこに価値観と規律と、剣道の精神が見えたんです。稽古の中身と、そこから、立ちのぼるものに惹かれた。動きと精神に心をつかまれました。
それは今も続いています。剣道は人生であり「道」だから、だから始めて、今も、この道を歩き続けている。
30歳のスタート
30歳でした。かなり遅いスタートです。遅く始めると、大変なことも多い。でも、その差を埋めようと、やってきました。
スイス剣道の現在地
ここローザンヌの武道館には約55人の剣士がいます。週2回の夜稽古には毎回15〜25人が来ます。スイス全体ではおよそ635人の剣士がいます。
剣士は増え続けています。連盟の戦略をジュニア育成に注いできましたから。例えばジュネーブには5〜15歳のジュニア専用稽古があります。
ありがたいことに25人のジュニアがいる。チューリッヒには40人以上。大きな一団です。
みんな本当に熱心ですよ。昨年、男子チームが表彰台へ2位に入ったんです。私たちの稽古と体制で、優れた。
代表チームを作れる証明です。来年の東京での世界選手権が今から楽しみです。
得るものは、必ずある
この前の日本滞在で、驚いたことがあります。剣道をやらない日本の方々に会ったのですが。スイス人が日本の伝統武道と文化に夢中なことに驚いていました。
だから日本だけでなく、世界中の皆さんに言いたい。剣道は体だけでなく、心にも、精神にも効くんです。剣道の精神に基づいて、試す価値は絶対にある。
ある瞬間、自分の限界を押し広げ、何かを得る。得るものは必ずあります。自分にも、仲間との間にも。
剣道は個人稽古ではなく、集団の稽古。ひとりでも稽古はできる。でも、相手がいてこそ、上達するんです。
コンフォートゾーンの外へ
いまの若い世代は「コンフォート、ゾーン」とよく口にします。言葉を知るのは良いこと。でもね。
その外へ出て、別の限界を見つける方がもっといい。本当に大事なことです。人生はコンフォートゾーンではなく、限界と挑戦でできているから。
何かを始めたら、もっとやれ、限界を追い越せ。
これが何より大切です。
このシリーズについて
「Way of Life」は、道を生きる人たちの短いポートレート集です。ひとりにつき、ひとつの言葉。撮影・編集は KAIDO Inc.
