始まりは黒澤映画だった。1999年、シリアン・ピッテルー七段は父とともに剣道を始めた。今年、七段に合格。

Way of Life 第11話『道だから』は、シリアン・ピッテルー(七段・剣道歴27年)のポートレート。撮影した道場は Budokan Lausanne。ここから先は、本編の字幕から起こした本人の言葉です。見出しと並びは本編の章立てに合わせています。

剣道はご存知の通り「道」ですから。

侍映画から

以前は柔道や剣術、居合道など、別の武道をやっていました。剣道への興味は侍映画から生まれたんです。若い頃に黒澤映画を観て、侍の斬り合いに惹かれました。

剣道というものを知ったとき——存在すら知らなかったんですが。1999年に始める機会を得ました。父と一緒にです。

選んだ道

あるときから、柔道と居合道と剣道のすべては続けられなくなって、選ばなければならなかった。そして日本で一年、過ごしたんです。そのとき思いました。

剣道なら怪我なく、稽古を続けられると。それで柔道をやめました。残念だけど、それが柔道との別れ。剣道だけの道を進むことにしたんです。

みんなで稽古する

何より気に入ったのはみんなが一緒に稽古することでした。若者も大人も子どもも、同じ稽古に立つ。女性も男性も一緒にそれが本当に楽しくて、稽古すればするほど、剣道は面白くなっていくんです。

難しくもなる。でも、それが大きな喜びで。

剣道だけの時間

ええ、みんな忙しい。本当にね。でも、私が剣道で、いちばん好きなのは。

稽古の間は他のことをすべて忘れられることです。剣道だけに集中できる。時間なんです。

仕事の悩みも、家の用事も、頭から消える。ただ、その瞬間に没頭する。いい稽古をしたければ、100%を出すしかない。

それが悩みや心配事から、私を遠ざけてくれる。1時間半でも2時間でも、剣道だけ、それが何よりありがたいんです。

道だから

剣道はご存知の通り「道」ですから。ジムに通うのとは違うんです。いえ、ジム通いが悪いわけじゃありませんよ。

でも道は追い求めて、歩み続けるもの。この道で成長したければ、稽古するしかない。道場に戻るしか、ないんです。

何もしないで強くなることはできないんだから。だから私は今日も、道場に向かうんです。

教えるということ

いい質問ですね。誰かに教えるときは多くのことを考え合わせなければなりません。リズム、相手のレベル、その場のエネルギー。

その全部を混ぜ合わせながら、できる限り最高の手本を見せる。見た人が「これならできる」と、掴んでくれるように。相手のやる気を引き出して、上達へのシンプルな道筋に気づいてもらう。

集中、気合。そして力まないこと。どれも自分自身に言い聞かせていることです。

世界中に、仲間

剣道の素晴らしさは何といっても、大きなコミュニティであること。剣道をしていれば、実に多くの人と出会える。よその国を訪れても、仕事で別の街に移っても。

そこにはもう。新しい仲間の輪がある。道場に顔を出せば、どこへ行っても、温かく迎えてもらえるんです。

日本の皆さんにも、おすすめします。ぜひこの機会に。

世界中に友達を作ってください。

このシリーズについて

「Way of Life」は、道を生きる人たちの短いポートレート集です。ひとりにつき、ひとつの言葉。撮影・編集は KAIDO Inc.